#3 台湾スタートアップの過去十年 – Yani Lee

免責事項: このメモはゲストから学んだ事を深く理解するためであり、私自身主観的な解釈が意識的、または無意識的に文字に反映されています。そのため、このメモよりゲストのお言葉の引用をお控えください。実際に何をどういう状況、口調、形で会話された内容に関しましては、ポットキャストYouTubeにて全てご覧頂けます。

李雅妮(リ・ヤニ)は台湾のスタートアップ界でよく知られています。年一度、そして台湾最大の創業イベントであるIdeas Showやアクセレーターである蝶々計画を担当し、その前は財團法人資訊工業策進會(情報産業研究所。政府関連機構)で台湾RFID産業の推進などを手掛けていた人物だ。現在はクロスボーダービジネスのコンサルティングを経営し、「ミューズ ビルダーズ」というライフスタイルのデザイナーをベンチャーに育て上げるというアクセレーターにも着手しています。

今日のトークは僕にとって学ぶべき部分は多かった。特に自分がいかにヤニに対して無知だったかを思い知らせた1時間でした。8年の付き合いはなんだったのだと反省してます。

彼女は情報工学科(Computer Science)卒であったことはかなり驚きでした。何故なら彼女はEQが高い、口が達者な上、人との付き合いも得意だからです。彼女曰く、情報産業研究所は台湾最大のテクノロジー関連のコンサルティング企業みたいなもので、情報工学一つくらい取ってなければ、務まるわけないという。お陰で情報工学科卒に対するステレオタイプが軽減しました。

いくつか学んだ事を簡略に記録しました。詳細はビデオやポッドキャストでお聞き下さい(中国語ですが、YouTubeの自動翻訳機能に期待しましょう)。

ビジョナリー・イノベーション=内部創業

当時の情報産業研究所には、社員が発明や創造に対するモチベーションを上げるために、ビジョナリー・イノベーションという計画があった。参加したい社員はコンサル並計画書を書き上げ、審査が通れば、情報産業研究所から予算がもらえるというもの。もしプロトタイプがうまく行けば、最終的に情報産業研究所からスピンアウトし、独立した法人を立ち上げ、情報産業研究所や関連機構からの投資ももらえる。ヤニの前同僚が作ったServBoxがそれを成し得たという。

ServBoxは今で言うスマートファクトリーに関連するソリューションで、製造機器の遠隔監視や操作を可能にするというもの。後に鴻海(フォックスコン)に合併され、創業者のうちの一人は郭台銘の右手となり、データセンターの業務を担当していた。昨年郭台銘が台湾総統の選挙に参加した際に、ヤニの前同僚である彼女も議員になったという。

印象深いベンチャー企業

ヤニにとって印象が深かったベンチャーはWonderShow、Gogolook、CliPickまたはBravoだという。ただ、彼女が未だに覚えている(8年ほど前接触した企業)理由は、ベンチャ自身よりも創業者だと語っていた。例えば、WonderShowの創業者は当時大学を卒業前後にベンチャを立ち上げ、2015年に中国へより大きなマーケットを目指した。CliPickの創業者はその後2つのベンチャーを立ち上げ、今では台湾ベンチャー界で「導師」となる存在。「Who’s Call」、当時グーグルのCEOエリック・シュミットが絶賛したアプリは、Gogolookが作り出したものであり、チームは若さが欠けた分、深慮かつ安定していた。創業者のうちの一人、エドガー・チュウ(Edgar Chiu)も今台湾のSparkLabの責任者として活躍している。

台湾ベンチャーの変化

自分がベンチャーを始めた2012年に、アクセレーターと言えるのはAppWorksと蝶々計画と蝴蝶計画と「時代基金會」のみだった。スタートアップ・エコシステムはほぼ存在していなかった。インタネットのビジネスに投資するベンチャーキャピタルはないと言えるほど、技術に関する投資はエレクトロニクスや製造業関連がほとんどだった。政府補助金を審査する人達も同様、インタネットのベンチャに関してちんぷんかんぷんだった。ただ、今は違う。ベンチャーキャピタルが増えた(少しだけだけど)、アクセレーターもあらゆる所に林立している。pinkoiやVponのようなベンチャ企業自身が投資ファンドを作ったり、創業者自身がエンジェル・インベスターになる例も増えつつあるという。

台湾スタートアップが中国大陸市場へ

インタネット・ベンチャーはまず無理だろうと、ヤニはそう思った。自分は2015年に北京へ移住し、2つのスタートアップに加入し、Pre-AやAの資金調達に成功した。2018年末からAWSでスタートアップ・エコシステムの業務開発を担当している。5年間の経験からしてみれば、台湾に限らず、どの国のインタネット・スタートアップが中国市場に入ろうが、成功率は極めて低い。ただ、コピーされにくい、または自社の著作権や特許が守られると確信出来る製品に勝ち目があると考える(勿論、マーケットの需要があるという前提で)。

そういった意味で、台湾においては、ライフスタイルに関連するデザイナーグッズ、台湾特色とする食べ物や飲み物、農作物などは中国大陸で大いに需要があるかと。

ヤニが創立したミューズ・ビルダーズというアクセレーターも、そういった思慮が含まれているという。ただ、ライフスタイルのデザイナー達は、設計が得意でも、スタートアップに関してはほぼ白紙である。アクセレーターという概念もなかなか飲み込めないという。そのため、多くの専門用語を「翻訳」しなければならないという小さな悩みもヤニにはある。んじゃ、アクセレーターはどう訳すの?と聞いた所、「塾」と帰ってきた。確かに、塾に違いないw。

ヤニに相談したい

もし自社の問題解決に繋がるソリューションをスタートアップから探したい、または自社のインキュベーションはアクセレーターを立ち上げたい、スタートアップ関連イベントを催したい、他の国や地域に製品を売りたいなど、ヤニのコンサルティング会社ORBITXが役に立つと思います。https://www.orbitx.asia/

ライフスタイル・デザイナーのアクセレーターに興味がある方は、ミューズ・ビルダーズへどうぞ。 https://www.musesbuilder.com/

About Dan Zen Learning
断然ラーニングはシリアル・アントレプレナー、IT業界の営業とマーケティングを熟知し、12年日本、10年台湾、6年北京での仕事経験を持つトライリンガル、毎日何らかを学んでいるダンより提供。
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